Quest 2 コントローラーの分解記録

DIY

Quest2のコントローラーのジョイスティックが壊れてしまったので、せっかくなので分解して調査した。どういう技術使われてどういう仕組みになっているのか、どうやって分解したのかについて記録する。

Quest2コントローラーを並べた様子

Quest2だけでなくコントローラーのジョイスティックは壊れやすい。

操作中に意図せぬ方向へ、入力が入ってしまう場合、大抵の場合ジョイスティックの物理的な故障だ。また、Quest2のコントローラーの分解やジョイスティックの故障については既にいくつかの情報があるのでそちらも参考にしてもらいたい。
Youtube Meta Quest2【分解】左アナログスティック交換
Youtube Oculus quest2 コントローラー接点復活 勝手に動く スティックボタンなおらないとき

 Quest2コントローラーの分解について

他のサイトにも情報があると思うが、Quest2コントローラーの分解は保証の対象外になる。また、登録修理業者以外の修理は電波法でもグレーゾーンである。壊れた製品を分解することは問題ない。しかし、分解した製品を使用するのは少しデリケートな問題である。本記事は、分解した製品の使用はあくまで自己責任で行ってほしい。

どういうことをすると問題になるかや、ジョイスティックの一般的な修理方法については最後に余談として書いたのでそちらを確認してほしい。

ただ、分解するだけではあまり既にある記事と差が無いので、本記事ではジョイスティックのモジュール自体も分解する。また、Amazonで交換用部品として売られている部品を購入したので、そちらも分解して調査した。

分解に必要な道具

主に私が分解に使ったものを紹介する。

残念ながら、いくつか現在入手性の悪いものもあるので、その場合は使えそうなものを参考として提示する。

特殊ネジ(トルクス)のドライバー(T4必須 できればT5も)

T4があれば、すべてのネジが回せるが、2本を除いて少しゆるいのでT5もあれば嬉しい。

また短いドライバーだと、柄が当たって回しにくい箇所があるので、もともと軸が長いか延長できる物、軸を自在に曲げられる物が好ましい。

下記は私が使っている物だが、現在Amazonで取り扱いが無い、また楽天だと高い。

使っているドライバーの写真
色々な種類の軸が付属して
延長用の軸もあるタイプ

Amazon Orader 53in1精密トルクスドライバーセット Y型 星型 いじり止め トルクス 星型 ドライバー など精密ドライバーセット 特殊ネジ対応 精密機器の分解 修理に便利な特殊ドライバーセット トルクスドライバー


参考(使えそうなもの)


オープナーとピンセット(必須ではない。)

オープナーやピンセットがあれば、作業はしやすいが必須ではない。
特にオープナーは、下敷きや定規やマイナスドライバーやギターのピックなどでも十分代わりになるので、それらがあれば代用したのでよい。

・オープナー
長いものは両方にそれぞれ形状の違う金属製のヘラがもので、金属部分が薄いので隙間に差し込みやすく、部品を開くときに重宝する。短いものは何かに付属していたもので、握りが短いので握りこみやすく、硬いときに重宝している。

オープナー
ナイフのようなタイプと短いタイプの2種類が並んでいる

・ピンセット
先端の細いものが大体の場合使いやすいので、オススメ。ただ、フラットケーブルを扱うときは先端が平たく幅広の方が保持しやすい。
Amazon 427 PPLS ステンレス製 精密 ピンセット 6本組セット

分解作業

できるだけ、読みながら作業できるように書いていたつもりだが、少し先まで読んで作業した方がやりやすいかもしれない。また、要所で注目ヵ所も紹介する。

パネルの取り外し

パネルは、両面テープとはめ込みで留まっている。
下の写真のように隙間からオープナーなどでこじ開けながら、両面テープを切ると開けられる。右も同様である。

左手側のパネルを外す様子
パネルの隙間にオープナーを差し込んでいる

パネル下のネジ

パネル下には写真のようにネジが9本ある。左右で位置が入れ替わっている以外は同じである。

どれもトルクスドライバーで外せる。緑丸だけT4でそれ以外はT5で外した。
ここのネジのリストを下記に示す。

ドライバーサイズ長さ(㎜)本数補足
赤〇T554本
赤△T551本抜けない
黄〇T5101本色が黒い
青〇T5171本半ネジ
緑〇T442本
パネル下部分のネジのリスト(片側)

赤〇

ネジの写真
4本のネジが並び
定規の上で5㎜の長さであることを示している

赤△ 写真のように抜けずに残る。これで正常なので気にしない。

右型のコントローラーのパネルを外した写真
右上の斜めに刺さっているネジが抜けずに刺さったままになっている

黄〇 これだけ色が黒い

黒いネジの写真
定規の上で10㎜の長さであることを示している

青〇 半ネジになっていて、ネジ山が無い部分がある。

ネジの写真
半ネジで、定規の上で17㎜の長さであることを示している

緑〇 これだけT4

ネジの写真
定規の上で4㎜の長さであることを示している

また、下記写真のように回すときリングが邪魔になって回せない。

コントローラーのネジを外そうとしている様子
ただドライバーの柄が当たって回せていない

なので、下記写真のように曲がる軸を使った。

ネジを回すためにドライバーの軸にゴム製の曲がる軸を取り付けた様子

余談 静電容量センサー

ここまで分解すると、下記写真の赤丸で囲ったバネがある。また、パネル側をみるとバネに接触するように金属の板がついている。何のための物か。これは、おそらく静電容量センサーである。ここで、金属の板とバネは電池と電池ボックスのバネのように電気的に接続されている。この板の近くに人体(指)が近くと、人体の静電気によって板の電位が変化する。

これによって、この板の上に指があることを検知できるという仕掛けである。

電池ボックス部分

まず、電池ボックスを開けて内側のシールを剥がすと、写真のように左右それぞれ3か所のネジが見える。また、穴の奥にも1か所ある。 左右それぞれ4か所ある。T5のトルクスドライバーで外せる。(T4でも可)

すべてパネルの赤〇のネジと同じもので、T5の長さ5㎜だった。

ドライバーサイズ長さ(㎜)本数補足
赤〇T554本
電池ボックス部分のネジのリスト(片側)

リングカバーの取り外し

下記写真のように、赤矢印部分を押し込む。

パネルを外した右手コントローラーの上側(写真では右側)の突起をドライバーで押している様子

リングカバーに隙間が出来るので、オープナーなどで両面テープを切りながら開いていく。
この時、LEDなどが実装されたフレキシブル基盤(FPC)が中にあるので、傷つけないようにする。あまり奥まで差し込むと、基板に当たりそうだった。

リングカバー全周を外し終わると、下記写真のようになる。ここから少し外しにくい。
ここで無理をすると、リングや基板が痛みそうなので注意する。

リングカバーを外している様子

外し終わった後のリングカバーの内側の様子だが、赤矢印の穴にカバーの突起が刺さっている。

上記写真を参考にして、突起を穴から外す。

オープナーをリングカバーのトリガー近くの隙間に差し込む様子

位置推定の仕組み

外した様子は下記写真のようになっている。
赤丸で囲んだものはLEDで、リング内側のフレキシブル基板に実装されている。
1つは電源が入った事を知らせる白色のLEDで、それ以外は赤外線を発するものだ。
これは、コントローラーの位置推定に使うもので、LEDが発した赤外線をQuest2が捉えて、コントローラーの位置や向きを割り出している。詳細は分からないが、恐らくそれぞれ別の発光パターンをしているのだと思われる。

リングカバーを外したコントローラーの様子
いくつもLEDが並んでいる

持ち手部カバー(内側)

カバー部は下記写真の紫矢印で示した突起に、赤矢印で示した穴をはめ込む形で固定されている。青矢印方向に隙間を広げながら突起を外せば、オレンジ矢印方向に1つ目のカバーが外れる。

コントローラーの持ち手部分のカバーの写真

2つ目の中指のトリガーが付いたカバーは赤矢印で示した突起で留まっている。隙間からマイナスドライバーなどでこじって外すしかないが、ここが非常に脆い

電池ボックスの裏側のカバーの写真
電池ボックスの上についた基板の隣にカバーを止めている突起がある

私は下記写真のように、折ってしまった…。簡単に付け外し出来るようになったので、作業性は良くなったが、気分が落ち込んだので、折りたくない方は十分注意されたし。

カバーを止めている突起を誤って追ってしまった写真
写真の真ん中に折れた突起が映っている

突起を外せば、1つ目カバーを外すときに示した青矢印方向に引けば、下記写真のように、外れる。

外したカバーの写真
裏面に剛性をあげるためかリブが立っている
トリガーも一緒にはずれている

持ち手部カバー(外側)

フラットケーブル(フレキシブルフラットケーブル:FFC)をコネクタ(FPC/FFCコネクタ)から外す。そのままでは、引っ張っても抜けない。
FPC/FFCコネクタにはストッパーがある。写真の赤矢印で示した黒い板状の部分。
ここを起こすとストッパーが外れる。このコネクタは部品が小さいので壊れやすい。今回は壊さなかったが、以前同種のコネクタを壊してしまったことがある。ピンセットでもマイナスドライバーでもよいが、竹串など柔らかいものでやると安心だ。

電池ボックス上の基板から延びているフラットケーブル
メイン基板の裏側のコネクタのストッパをマイナスドライバーで開いている様子

ストッパーを起こすと、コネクタからフラットケーブルが抜けるようになるのでピンセット等で抜く。

外れたフラットケーブルをピンセットでつかみ外している様子

後は下記写真の赤丸部分がはまっているだけなので、青矢印方向に引っ張れば外れる。

外れた様子が下記写真。

余談 トリガーの動作原理

ここまで外すとトリガーが良く見える。
トリガーは人差し指と中指のどちらも基板にも接触していない。トリガーには磁石が付いている。この磁石の磁気を基板側の磁気センサー(おそらくホールセンサー)で感知している。なので、直接接触させることなくトリガーの位置が検知できる。

トリガーの裏に磁石が取り付けられており、トリガーが動くとメイン基板上のホールセンサに近づく作りになっている様子

トリガーの取り外し

トリガーはピンで留まっている。バネがあるが、基板に抑えられいるので飛ぶ心配はあまりない。
下記はピンを外した後の写真だが、ピンは青色矢印の方向から押して外す
紫方向から押すと、赤矢印で示したフレキシブル基板を破損させる恐れがある。最初間違えかけて、非常に危なかった。

ピンを押す場所は下記写真の赤矢印で示した場所だ。

下記写真のようにドライバーなどで押して抜く。固いが、あまり力を入れると勢い余ってヒンジを壊しそうになる。私は壊しそうになった。

右手側のトリガーのピンをドライバーで押している

メイン基板の取り外し

ついにメイン基板だ。外す場所を下記写真で示す。
赤枠で囲った場所が、コネクタ(FPC/FFCコネクタ)
青矢印で示した場所が、アンテナ線
赤丸で囲ったのが、トルクスネジ

上記赤枠で示したコネクタ(FPC/FFCコネクタ)のストッパーを起こして、フレキを引き抜く。
下の二つのコネクタは、リングのLEDなどが実装されたフレキシブル基板。
中央付近のコネクタは、ジョイスティックのユニットから延びるフレキシブルフラットケーブルだ。

コネクタのストッパーをピンセットで起こしている様子

上記青矢印で示したアンテナ線がつながっているコネクタを外していく。
まずは、基板上側のコネクタを外す。マイナスドライバーかペンチなどで基板に対して垂直に力を加えれば外れる。下側も同様に基板に対して垂直に引っ張って外す。

アンテナ線のコネクタをマイナスドライバーこじって外している様子

上記、赤丸で囲ったネジは黒色のT5のトルクスネジで長さは6.5㎜で、4本である。

ネジと定規の写真
長さが6.5㎜であることを示している
ドライバーサイズ長さ(㎜)本数補足
赤〇T56.54本色が黒い
メイン基板のネジのリスト(片側)

ここまで済めば、メイン基板が外れる。
パネル分解時に触れた、静電容量センサー用と思われるバネが良く見える。また、ボタンにもバネが巻かれているのが分かる。これも静電容量センサー用のバネだと考えられる。これのおかげで、ボタンが押されていなくても指がボタンの上にあることが検知できる。

バラバラになったコントローラーの様子
奥にネジとトリガー
その手前にリングやボタンが付いた本体部分
その手前にメイン基板とジョイスティックが左右それぞれ対称になるようにならべている

取り外したネジのリスト

確認用に、外したネジの写真とリストを下記に示す。(コントローラーは左右2個なので両方分解した場合はこれのちょうど2倍のネジがある。)
ネジが全部で16本とピンが1本

ネジを収めた写真
左上から黒いネジ4本、ピン1本、黒い長ネジ、短いネジ2本、長い半ネジ1本、ネジ4本×2が並んでいる
ドライバーサイズ長さ(㎜)本数場所補足
T558本(4本+4本)パネル下,電池ボックス周辺
T5101本パネル下色が黒い
T5171本パネル下半ネジ
T442本パネル下
T56.54本メイン基板色が黒い
ネジのリスト(片側)

ジョイスティックの分解

ジョイスティックの指で触る部分は、本体の軸に刺さっているだけなので引っ張ると抜ける。また、バネ部分もバネに付いた金属の板が、ジョイスティック本体に被さっているだけなので簡単に外せる。このバネはよく似ているが左右で違うようなので、元に戻したいなら注意する。一応R、Lが刻印されているので混ざってしまっても確認はできる。

ジョイスティックの指で触る部分とバネが付いた部品、ジョイスティックの本体が並んでいる

ここまで分解すれば、ジョイスティックを交換することも可能だ。今回は仕組みを調べるのが目的なので更に分解する。下記写真の赤矢印で示した4つの爪を、写真のように起こす。そして、青矢印で示した留め金部分をマイナスドライバーで外すとジョイスティック本体が開く。中にバネがあるので、飛ばさないように注意

分解後の部品一覧を下記写真に示す。

分解した部品を並べている。
左上から1から10の番号を振ってある
中の樹脂部品は黒い
カバーは白い
  1. カバー(プラスチック)
  2. バネ
  3. 駆動部①
  4. 駆動部②
  5. スティック軸
  6. バネ受け
  7. 軸受け
  8. スライダー×2
  9. フレキシブル基板
  10. カバー(金属)
ジョイスティックの分解工程

まず、カバーを外した分解直後はこのような状態になっている。

ジョイスティック本体の金属カバーを外した様子
全ての部品が収まっている

バネを外す。すると、バネを受けているリングが見える。

ジョイスティック本体の分解の様子
バネの下に金属製のリングがある

次にリングを外す。駆動部がそれぞれのスライダーと連動している様子が分かる。

ジョイスティック本体の分解の様子
金属製のリングを外すと駆動部分が収まっている

次に軸受けを外す。

ジョイスティック本体の分解の様子
写真の左側にある穴に嵌っていた軸受けを外した様子

次にスティック軸と駆動部②を外す。駆動部②は写真の右側のスライダーと連動していることが分かる。駆動部①は下側のスライダーと連動している。写真の左右方向に軸動かすと、下のスライダーが、写真の上下方向に動かすと右側のスライダーがスライドする。

ジョイスティック本体の分解の様子
スティックを外した様子
スライダーと駆動部がかみ合っている

駆動部①を外すとスライダーだけが残る。

ジョイスティックの仕組み

小さくて見えにくいが、赤矢印で示した先端はそれぞれ二股に分かれており、丸く曲げられている。その先端が、フレキシブル基板の写真赤丸部分に接触する。この黒い部分は恐らく、カーボン被膜のように見える。カーボン被膜は電気抵抗になるので長さに応じて抵抗値が変わる。スライダーが移動するとカーボン被膜場を電気が流れる長さが変わる。それを利用して軸の動きを検知する仕掛けだ。
フレキシブル基板の写真で、フレキシブル基板の右下に見える銀色の丸い部分はスイッチである。写真で見えている面は薄い金属板で出来ていて、押し込むとへこむ。おそらく反対面に接点がありそこと接触することでスイッチとして機能する

長期使用による汚れ

上記の写真の赤丸部分をよく見ると、擦れた後だろう2本の線がある。最初からあるものなのか、汚れなのか確認したい。IPAで拭いた。
そうすると、下記写真のように線が消えた。やはり、長時間利用したことによる汚れの類だったようだ。こういった汚れは誤動作の原因になりやすい。最近のジョイスティックはトリガーで紹介したように磁気センサーを使っているものもあり、そういったタイプでは擦れる部分が無い為このような不具合は起こらない。(経年劣化で磁石の磁気が弱くなると検出位置がずれる可能性があるが、キャリブレーションで対応できるだろう。)
整備するのであれば、上記写真の赤矢印部分と赤丸部分をIPAかパーツクリーナーで洗浄し、乾かした後、接点復活剤を同じ個所に塗布すれば回復するだろう。(しかし、何度も繰り返していればだんだん劣化するのでどこまで持つかは不明だ。)

逆手順で組み立て直した後、爪を折り曲げて、元の状態に戻した。
金属なので、あまり何度も開閉をすると、金属疲労で折れそうだ。当たり前だが、整備性については考えられていない。

ジョイスティック互換品の検証

最初にも書いたが今回、Quest2コントローラーのジョイスティックの互換品を歌う商品を買ってみた。
Amazon 3D アナログ ジョイスティック 互換性 Oculus Quest 2 コントローラー用 サムスティック部品 交換用 アクセサリー
外観はプラスチックの色が違う以外にも、結構差がある。

左に互換品
樹脂の色が黒い
右に純正品
樹脂の色が白い

これも、純正部品と同様に分解してみる。分解方法はほぼ同じである。
爪の折り曲げ方向が違う。比較するとこちらの方が、応力の方向的に頑丈そうに見える。また、曲げ量が少ないので、金属疲労も少なそうだ。

互換品の分解

分解すると中身は下記写真のようになっていた。純正と比べると、軸の押さえが省略されている。また、フレキシブル基板を見ると、カーボン被膜が片側だけになっている。それ以外はほぼ同じ構造だ。コスト的には純正より安くできていそうだ。
材料的にどうなのかは分解だけでは分からないので実際の耐久性はよくわからないが、構造だけ観れば部品が少ないので同程度かそれ以上の耐久性がありそうだ。

他でも同様の製品が売っている。

こちらは交換に必要な工具とセットになっている。写真が正しければ、部品自体は同じモノのようだが、Amazonより値段が高いが工具とのセットと考えればそれなりの値段かもしれない。


組立作業

メイン基板とジョイスティックが戻された状態のコントローラー

逆手順で元に戻していく。注意点だけ軽く触れていく。コネクタ(FPC/FFCコネクタ)は刺した後、ストッパーを閉じないと接触しない。

トリガーを戻す際、ピンが上手く刺さらない。バネが引っ掛かっていた。
ジョイスティックがある面側から、トリガーのピンやバネの位置をピンセットで調整することで刺さった。ピンセットがない場合はマイナスドライバーや針等の細いものを使うと良いだろう

トリガーのピンがバネに引っ掛かって止まっている様子

中指のトリガーまで戻した状態。
ここまで戻せば、電気的には元通りだ。電池を入れれば動くだろう。
今回は、動作確認はしないが動作確認をするならこの状態だ。

カバー以外を取り付けたコントローラーの様子

注意点

ここで失敗しやすいのは下記の2つだ。

  • アンテナ線のコネクタが正しい位置に奥まで刺さっているか?
  • コネクタ(FPC/FFCコネクタ)のストッパーが閉じているか?
  • FPC/FFCを誤って切っていないか?

コネクタの位置とそれぞれの役割を下記表で示す。
コネクタは抜き差しすると接触が直ることも多い。
FPC/FFCを切ってしまった場合、表面を刃物で削って銅箔を露出させて導線をはんだ付け等でつなげば直るが、配線はかなり細く難易度が高いので、諦めて交換部品を手に入れるのが現実的だろう。

コネクタが接続している場所接触不良などで起こる現象
メイン基板中央とジョイスティックジョイスティックが働かない
メイン基板とリングコントローラーの位置推定が出来ない
メイン基板アンテナ線通信が出来ない
メイン基板と電池ボックス側基板電源が入らない 振動しない

確認出来たら、カバーを戻してネジを締める。

パネルを取り付ける前の様子

パネルも戻せば、組立終了だ。

パネルを取り付けて電池ボックスの蓋をした様子

まとめ・感想

今回は壊れたQuest2のコントローラーを分解して、中身を調べた。
少し破損してしまったが、おおむね問題なく分解して元に戻すことができた。
当たり前といえば当たり前だが、分解修理をすることはあまり考えていない作りだった。
簡単にだが、コントローラーの仕組みも見ることが出来たので満足だ。
Quest3やProではリングが無くなっているので、中身もかなり変わっているのだろう。
Proでは代わりにカメラで自己位置推定をするようなので、Quest3もそうなるのだろうか。
(追記2024年3月6日 Quest3はリングではなくパネル部分にLEDを仕込む形式になったようだ。)
もし、また機会があればこのような記事を書いてみたいと思う。

以上、素晴らしい製品を世に送り出してくれたOculusに感謝を捧げてこの文章を終わる。

コントローラーの修理などに関する余談

無線機器の分解しても良い場合、駄目な場合

Questコントローラーは1つの製品として技適に通っているので分解した後、意図せずとも電波の特性が変わってしまうと違法になる。また、資格のない業者が修理すること、また資格があっても修理後修理したことを明示してい場合も問題になるようだ。製品ではなく製品に使用している通信ユニットが技適に通っている場合は、そのユニットを分解しなければ他は分解しても特性が変わる可能性がないので問題はない。電子工作などで使える無線モジュールやPCに後付けできる拡張基板などは後者である。
最初、この記事を書いたときは分解時点でアウトだと思っていたが、個人による修理は特性が変わらない限りは特別問題ないようだ。しかし、普通に分解清掃しただけでは特性は変わらないが、意図せず変わってしまう場合も考えられるので微妙なラインであることに変わりはない。ちなみに、正規の修理業者では修理後の特性の確認が必要らしい。

一般的なジョイスティックの修理方法

一般的なジョイスティックの修理方法として、主に3つのパターンがある。

  1. 接点復活剤やパーツクリーナーを隙間から吹き付ける
  2. ジョイスティックの部品交換
  3. ジョイスティックの部品清掃

保証期間内であれば先にメーカーや代理店に連絡した方が良い。また、お金があるなら新しいコントローラーを買った方が良いだろう。

あえて言うなら1番は保証が効かなくなる可能性以外はあまり問題になりそうにない。2,3番は分解するので先を書いたように今回のQuest2コントローラーのような無線式のコントローラーでは電波法的に微妙である。また、Quest2コントローラーのジョイスティックのようにモジュール化されている場合はハンダの必要はないが、はんだ付けされている場合、ハンダを除去する必要があるので難易度が高い。下記でそれぞれを比較する。

接点復活剤やパーツクリーナーを隙間から吹き付ける

簡単だしそんなにお金もかからない。ただし、直らない時もあるし、パーツクリーナーや接点復活剤はプラスチックを犯す場合があるし、塗布しなくてよい場所にも塗布されるこの方法はコントローラー内部が汚れるのであまり好ましくない。

必要なモノ

  • パーツクリーナー
  • 接点復活剤

どちらもスプレータイプであれば、どこのメーカーでも問題はないだろう。(プラスチックを犯すものでなければ)
接点復活剤とパーツクリーナーどちらにするかだが、おおよそ接点復活剤単体で問題ない。
2回目以降で接点復活剤を吹き付けても直らなくなったらパーツクリーナーで一度洗浄した後、再度接点復活剤を使う。どちらにせよ、あまり大量に使うと別の問題が起こることが予想されるので、注意されたし。下記は私がよく使うもの。

・パーツクリーナー


・接点復活剤(スプレータイプ)

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ジョイスティックの部品交換

交換用の部品を入手する必要があるので、3つの中では1番費用がかかるかもしれない。しかし、成功すればほぼ間違いなく新品と同じ動作になる。再発の可能性も1番低い。しかし、純正部品が個人で入手できない場合、パーツの品質は製造メーカー毎にバラツキがあるだろう。逆に純正部品より品質の良いパーツが存在する可能性もなくはない。

ジョイスティックの部品清掃

扱う部品が細かいので、3つの中では1番難易度が高い。Quest2のように分解可能でなければ、そもそも実行不可能である。それでも、塗装無しのプラモデルの組立程度の難易度である。修理後直るかは2番より不確実で、1番より確実。道具を持っていれば、必要な費用は2番より安い。他2つの真ん中な立ち位置である。交換部品が手に入らない場合は有効だ。下記私がよく使うもの。

必要なモノ

・IPA(パーツクリーナーでもよい)

私はIPAを使っている。しかし、パーツクリーナーの方が使い勝手が良いし比較的安全性が高いのでIPAを持っていないなら、パーツクリーナーを準備する方が良い。


私は下記の容器にIPAを入れて使用している。

上を押すと中の液体が出てくる容器に入れたIPA
めん棒にそのIPAを浸している様子

・接点復活剤(刷毛タイプ)

分解清掃する場合なら、刷毛タイプの接点復活剤の方が必要ヵ所だけに塗布しやすい。しかし、使い方の問題なので、スプレータイプの接点復活剤でもよい。



(2024年7月31日 ネジのリストを追加・訂正)
(2025年5月24日 電波法周辺の理解に誤りがあったため 修正追記)

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