マザーボードのCMOS用のコイン電池(ボタン電池)が経年によって切れてしまった。
BIOS設定の保存や内部時計に使われているので、切れているといろいろ不都合だ。
ホルダー型であれば簡単に交換できるのだが、コネクタ接続のタイプになっていたためで交換用の部品が届くまで、有りもので凌ぐことにした。
同じような人の参考になれば幸いだ。
電池切れを発見した経緯
私はサブPCをLAN経由で起動と操作ができるようにしている。しかし今回、主電源を落とした後LANから起動も接続できなくなった。
仕方ないので、ディスプレイを直接つないで確認したところ。CMOSデータと時間が設定されてないと警告が出ている。このせいでLAN経由の起動(WoLAN)も出来ず起動が途中で止まってリモートデスクトップも接続できずにいたらしい。BIOSの設定するかと正常に動くが、主電源を落としてしまうと再度同じ警告がでる。

BIOSの設定が電源を落とすたびに消えることから、CMOS用コイン電池が切れているのだろうと判断した。
マザーボードについていたコイン電池
サブPCのマザーボードはASRock Intel B360M-ITX/acだ。
下記写真の様にマザーボードとコネクタでつながっているタイプで、普通のコイン電池を買ってきてもそのままでは交換できないユーザーフレンドリーではない作り。
コイン電池のコネクタを外し、マザーボードと両面テープでくっ付いているので剥がす。
この時にドライバーや金属のヘラなど硬いもので乱暴に剥がすとマザーボードのパターン(回路)が傷つくので、柔らかいものや手で優しく剥がす。
パッケージに[KTS 851 CR2032W 3.0V]と書かれている。


カバーをカッターナイフで切り開いたのが下記の様子。コイン電池本体にもCR2032Wと刻印されている。黒線がマイナス面に、赤線がプラス面に接続されていることも分かる。
しかし、コネクタの型番は残念ながらマニュアルにも記載がなかった。形状とサイズから恐らくmolexのPicoBladeコネクタ1のようだ。
もし交換用のケーブルを自作したいなら、ハウジングは[510210200]、コンタクトは導体のサイズに合わせて[50079]または[50058]を使えば合いそうだ。詳しくはmolex公式サイトを確認してほしい。
(JSTのZHコネクターの可能性もありそう?)
コイン電池の詳細の調査


CR2032まではなじみがあるコイン電池のサイズだが、Wとは何だろうと思ったら耐熱を意味しているらしい2
添え字 | 意味 |
W | 耐熱 |
R | 高出力 |
H | 大容量 |
電圧を確認すると、やはり電圧が低下していて1.12Vしか出ていなかった。コイン電池は定格3V(新品だと3.4V~3.3V)なので半分以下の電圧しか出ていない。これでは動かなくて当然だ。

応急処置方法
同タイプのCMOS用のコネクタが付いているコイン電池は売っているのだが、何とか手持ち物で凌ぎたい。(下記のモノは一例で3端子のモノやコネクタが違うものなどいろいろあるので、合うかどうかはマザーボードやもともとついていたコネクタとよく見比べる必要がある。)
ということで、手持ちのコイン電池を無理やり取り付けてみることにした。あくまで一時しのぎなので電気の知識がない人は真似しないように。
使った道具・材料
- ラジオペンチ(スポット溶接を剥がす用)
- 3.0Vのコイン電池・ボタン電池(もう他にないなら乾電池×2の直列でも出来るかもしれない)
- 絶縁テープ
コネクタをコイン電池から取り外す
まず、コネクタを利用したいので元々付いていたのコイン電池からコネクタが付いているケーブルを剥ぎ取る。
電池とくっ付いている端子はスポット溶接されているだけなので、ラジオペンチで電池の面に対して垂直に引っ張れば取れる。


別のコイン電池で代用する
手持ちのコイン電池CR2025と絶縁テープで凌ぐことにした。
CR2032WとCR2025の違いは、先も書いた耐熱の他には厚さ(CR2032は3.2㎜、CR2025は2.5㎜)だけだ。電圧が同じ3.0Vなので今回のように厚さが問題にならない場合は代用できる。
(容量は違うはずなので元の電池よりは長持ちしないだろう)
その辺にあったものなので一応電圧を確認して、3.0Vあることを確認。3.43Vなので問題なし。
本当はCR2032を用意する方が好ましい。


代用コイン電池とコネクタを接続
そのままだとコイン電池のプラスとマイナスが端子を介してショートしてしまうので、端子が触れる縁に挟むようにして絶縁テープを貼る。
絶縁テープを貼った側にプラスマイナスの端子を間違わないように接触させる。


後は端子やコイン電池が見えないように絶縁テープでグルグル巻きにして、絶縁する。
一応テスターで接触を確認した後、マザーボードに接続した。
これで主電源を落としてもBIOS設定が消えなくなった。


CMOS用コイン電池の代用についてまとめ・感想
手元にある適当なコイン電池でCMOS用コイン電池の代用品を作ることができた。
通販で簡単に買うことも出来るので買えるならそちらの方が簡単だし確実だが、急場しのぎをしたい時には活用できると思う。
一応コネクタについても調べてみたが、しかし、コネクタを購入して完全自作するのは圧着や部品選定が面倒だし、値段的にも元が取れないのでお勧めしない。元のコネクタやケーブルを再利用した方が良い。
出来ることは分かっていたが実際やってみたのは初めてだったので面白かった。マザーボードのコイン電池がコネクタ接続でなく、ホルダー式であればこんなことはしなくても良いので、今後マザーボードを買うときには注意したい。
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