電子メモパッド端が滲むようになってしまった。
やすいものなのであまり損にはならないが、ただ捨てるだけでは面白みが無い。なので、分解して仕組みを確認した。
分解する電子メモパッド
電子メモパッドは液晶を利用した何度でも書けるメモだ。
私が理解している範囲で、仕組みを説明する。
整列している液晶に力が掛かると液晶が乱れて光を反射するようになるのを利用して文字を書き、電圧をかけると液晶が整列して光を透過するようになるのを利用してメモをリセットする。というのが何度も書いて消せる仕組みだ。
電子メモパッドはそんなに新しい製品ではないが、ダイソーや家電量販店でワンコインで買える値段になってから爆発的に普及した印象がある。

分解
このメモパッドは縁がシール状になっていた。
少しドライヤーで温めて剥がすと下記のように基盤と液晶シートが出てきた。



液晶シートの電極は基板と接続されていたが、カプトンテープで止められているだけだった。カプトンテープを剥がすと簡単に外すことができた。コストカットだろうか。


(今思えばこの段階で回路の動作を確認しておけばよかった。)
液晶シートを2つに分けると、独特な臭いがした。昔の液晶画面からは同じ臭いがたまにしていた気がするので、おそらく液晶の臭いではなかろうか。この2枚のシートの間に液晶が塗布されているはずだ。
電極と内面の間の抵抗値を計ったが、値が安定せず値を正確に測ることは出来なかったが、ある程度電流が流れるようなので、話に聞いた通り、導電性高分子でできているようだ。

元に戻してみる
2枚に分けたシートを再度張り合わせて、回路につないでリセットをしてみるが、周りは黒いが中央は蛍光グリーンのままだった。

恐らく密着していないのだろう。ラップの芯を転がして密着させてみた。

何度かリセットを繰り返すと全体が黒くなり書けるようになった。しかし、かなり滲む。
空気に触れたのが良くなかったのか、液晶の厚みが不均一になってしまったのか、原因は分からない。一度剥がすと元に戻すのは難しそうだ。

回路の動作を調べる
一度剥がしてしまったので同じ動作とはいかないが、どのようにリセットしているのか確認してみた。

DSO-TC3君で計測したところ、下記のようになった。

せいぜい数十Vだと考えていたのになんだかとても高い値が出ている。-257Vから絶対値が小さくなりながらプラスマイナス電圧が交互に3回ずつ出ている。
電圧以外は予想通りの挙動なのだが…。
恐らくだが、液晶シートを剥がしたせいではないだろうか。液晶に流れる電流の量が変わってしまったのかも。
そのせいで、電流が流れず電圧が異常に上がってしまったのかもしれない。
基板をあまり追っていないので予想だが、FETとコンデンサとインダクタが有るのでスイッチングレギュレータで電圧を上げているのだろう。安い製品なのでフィードバックをわざと付けていないのかもしれない。

正常な時はどんな動作をしていたのか気になる…。
これが正常な動作という可能性もなくはないと思うが、可能性は低いだろう。
まとめ
- 安いだけあって電子メモパッドの構造は至ってシンプル
- 分解に必要なのはカッターナイフか薄いオープナー
- 分解する前に動作確認した方が良い時もあるので今後は注意
- 恐らく電子メモパッド製造の肝は液晶の挟み方ではなかろうか
今回は電子メモパッドを分解してみたが、これは電子工作としての難易度というよりは、液晶製造に関する知識が必要そうだ。液晶画面よりははるかに簡単だろうが、液晶の入手や均一に液晶をシートの間に挟むにはある程度の伝手やノウハウが必要そうだ。
これが、そのへんで数百円で買えるのだから凄い世の中だ。
皆さんは、特に理由が無ければ電子メモパッドは普通に使いつぶした方が良いだろう。
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