mutalk2が手元に届いたのでいろいろ比較した。

mutalkとは
一応、簡単にmutalkという製品について説明すると、Shiftallという会社が出しているワイヤレス防音マイクだ。
音漏れが気になる集合住宅や家族の耳が気になる家庭や近隣の迷惑になりそうな深夜等に、VRSNSやメタバース、Web会議、オンラインゲームのボイスチャットなどで会話する状況で利用することで音声の周囲への漏れを低減するのが目的の商品だ。公式サイトに寄れば平均-20dB最大-30dB音を小さくすることを実現しているらしい。
後、細かな仕様としてイヤホンなどを繋ぐイヤホンジャックがあり、単体で電話を受けるヘッドセットの様に使うことも出来る。
mutalkとmutalk2の機能の違い
mutalk2は名前の通りmutalkの新型だ。
変更点をざっくりとまとめる。
- 動作時間が8時間から10時間に延長(充電時間も伸びた)
- マイクの周波数特性が変更 100〜10,000Hzから50〜20,000Hzに
- Bluetooth Ver. 5.1からVer. 5.3へ
- 接続方式に専用USBドングルとUSBケーブルによる有線接続が追加
- 対応プロファイルにA2DPが追加
- マルチポイント接続が可能になった(2台)
- マウスパッド(口に当てる部分)が2種類になった。
- 現在販売価格はmutalkは13,900円、mutalk2は19,900円(6,000円高い)
周波数特性は特性表などは見当たらなかったので簡易だが、大雑把に言えばより広い周波数の音が拾えるようになっている。また、有線接続と付属品の専用ドングルではサンプリングレートも量子化ビット数もBluetoothに比べて上がっているので、より細かな音の変化が拾えるようになっている。またBluetoothでもプロファイルにA2DPが追加されているので、A2DPに対応している機器相手ならばより高音質で音途切れを少なくできる
らしい。
このスペックをどこまで信用してよいのか
いろいろ、カタログ上の違いをまとめてみたが、あくまでカタログスペックである。
同じスピーカーユニットを使ってもエンクロージャ(納める箱)の形が違えば音が違うように、同じマイクでも箱を被った状態と被っていない状態では録れる音が違うので、防音の為のケースに入っている構造の影響が明らかに大きそうなので、参考程度にした方が良いだろう。
mutalkの問題点
私が使って感じた問題点や、周りの人から聞いた問題点をまとめる
- 中が呼気の蒸気で湿る
- 音質が悪い
- 鼻声になる
- すこし息苦しい
- 口の動きが制限される
- 吸湿スポンジから溶剤臭がする
- 頭の大きさによってはバンドが上手く締められない
吸湿スポンジの溶剤臭は数日置くと解消されるので、そこまで問題ではないが、気になる人は気になるだろう。
音質と鼻声は多少そういうものだと割り切ったとしても、中が蒸気で湿るのは意外と問題が多い。
長時間使用していると水が溜まってしまう。呼気と基板の間はあまり分離できていないようで、特にマイクとその導線部分が呼気の流れる部分と同じなのが良くないようだ。
息苦しいのもやはり長時間の使用には向かない。
短時間であれば問題はないが、そうなると用途は限られてきてしまうだろう。
mutalk2ではこれらの点は改善されたのだろうか?
mutalkとmutalk2の実物比較
外箱はmutalk2の方がかなり大きくなっている。2種類のマウスパッドが入っているからだろう。


外見は殆ど違いはない。マウスパッド(口に当てるゴム製のクッション部分)の取り付け部分も共通形状なので、マウスパッドはmutalkが廃盤になってもmutalk2用のモノがそのまま使えるようだ。消耗品が使いまわせるのは良いことだ。


mutalkとmutalk2の明らかな違いだが、マイクの位置が変わっている。mutalkでは吸湿スポンジの下の底面部の呼気が通る部分にマイクが内蔵されていたが、mutalk2では左端に移動されている。本体との固定は振動を低減させるためかゴム状の部品が使われている。これは、呼気とマイクを分離して飛沫や蒸気の影響を下げる効果とスポンジによる音の減衰を避ける効果を狙っているのだろうか。
やはり少し、吸湿スポンジから溶剤の臭いがする。mutalkと比べるとましになったような気もする。


mutalkとmutalk2の消音効果の比較
専用の道具が無いので騒音測定アプリで比較してみた。下記リンクの騒音測定器というアプリを使った。スマホと私の口との距離は操作の都合上50㎝程度だ。しかし、あまり正確な値とは言えないので参考程度にしてほしい。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.gamebasic.decibel&hl=ja
mutalkなしでの状態


何も話していない時の私の部屋の騒音レベルの平均は47.5dBだった。
普通に話すと最大89.9dBとなった。本当は他とそろえる為に大声を出してテストしたかったが、近所迷惑なので実行できなかった。
ノーズカバーなしのマウスパッドでのmutalkとmutalk2の比較


まずはノーズカバーなしの通常のマウスパッドでテストした。出来るだけ同じ声量にするために大きめの声で叫んでみた。mutalkが最大84.0dB、mutalk2が最大81.5dBでどちらも話声以下程度に抑えられているようだ。少しmutalk2の方が低いが作りの差だろうか。
ノーズカバーマウスパッドでのmutalkとmutalk2の比較


次はノーズカバーマウスパッドでテストした。同じように大きめの声で叫んでみた。mutalkが最大89.2dB、mutalk2が最大86.9dBでどちらも話声程度に抑えられているが、ノーズカバーなしに比べると少しだけ値が高い。吸排気バルブから音が漏れるのだろうか。またこちらでも少しmutalk2の方が低いのでやはり作りの差があるように感じる。
あと、呼吸の仕方や喋り方によってはノーズカバーの吸排気バルブが振動してビリビリと音が少しする。低い声を出すと特に音がするので声の高さも影響するのだろうか。
公式オンラインマニュアルhttps://docs.google.com/document/d/1oHDJ_xr1Fhuzroryy3NrBvhk3mR4Kwgn6tZJF1jKePM/edit
によれば、付属の排気口蓋を使うと低減できるらしい。やってみたところ、低減した気もするが呼吸がしにくくなり、飛沫や蒸気がより溜まりそうなので少し考え物だ。吸排気バルブの交換でも変化があるようだが、出荷時はすでにビビりの少ない硬めのバルブが付いているらしいので今回は試さなかった。オンラインマニュアルにも書かれていたが、やはり高い声では起きにくく低い声だと起こりやすいようだ。(吸排気バルブの固有振動数の問題だろうか?)
mutalkとmutalk2の音質と使用感の比較
通常マウスパッドとノーズカバーマウスパッドとmutalkとmutalk2の4通りの組み合わせとmutalk2のドングル接続と有線接続で自分の声を録音して比較してみた。
mutalk+通常マウスパッド
くぐもって聞こえる。鼻声のような感じ。
mutalk2+通常マウスパッド
同様にくぐもって聞こえる。鼻声のような感じ。
くぐもってしまう影響が大きすぎて、音質の差がよくわからない。
mutalk+ノーズカバーマウスパッド
通常マウスパッドに比べるとクリアに聞こえる。しかし、口の動かしやすさはあまり差はない。通常のマイクと比較するとまだくぐもっているが、鼻声っぽさはかなり低減した。代わりに呼吸音が入りやすい気がする。
mutalk2+ノーズカバーマウスパッド
同様に、通常マウスパッドに比べるとクリアで、鼻声っぽさは低減された。やはり、通常のマイクよりはくぐもるし、呼吸音が少し入りやすい。
音質の差は私の耳ではよくわからないが、少し良いような気がする。
mutalk2 USBドングル接続 有線接続
少し、遅延が減るらしい。だが、聞いた感じ遅延の音質の差もよくわからない。
音楽用途などだと分かるのかもしれないが、普通の使用だと気にならない。
ドングル接続にしてしまうと、Bluetooth接続のマルチポイント接続は出来ないのでPCとスマホやHMDの両方に接続して使いたい場合少し不便になる。
mutalkとmutalk2の比較まとめ
- ノーズカバーマウスパッドを使うと鼻声は低減される(消音性能は少し下がる様子)
- 音がくぐもるのはあまり変化なし
- 音質は少し良くなったような?
- 蒸気で湿るのはあまり変化なし(マイクの位置等が変わったので故障はしにくいかも?)
以上からやはり、長時間の運用には向いていないようだ。
音質は改善されたが、消音という性格上音がくぐもるのは避けられないのかもしれない。
両者を比較すると、いろいろと改善されているのでmutalkを持っていないならmutalk2を買うのを検討しても良いが、mutalkを持っていて新しい機能にそこまで興味が無いが鼻声だけ気になるのならノーズカバーマウスパッドだけ買うのもありかもしれない。ノーズカバーマウスパッドだけなら1,980円だ。
https://shop.shiftall.net/products/mutalk_nosecover
やはりmutalkの基本的な運用方法は使うときだけ口に当てるのが正解のようだ。
音漏れが気にならない遮音性の高い環境や一軒家であれば、必要性はない。
吸音材を張りつけたり簡易防音室を買うよりは簡単で安上がりで場所を取らないのだが、やはり利便性や音質等の性能は劣る。
配信やゲーム実況など漏れより外部音が入るのが気になる場合や音質が気になる用途ならば、高くても簡易防音室等の方がよさそうだ。
以上、検討中の人の参考になれば幸いだ。
参考サイト
Shiftall公式サイト
https://ja.shiftall.net/products/mutalk2
https://ja.shiftall.net/products/mutalk
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