PCの内部USB2.0コネクタを分割するケーブルの自作

DIY

ケーブルを自作した経緯

自作PCを使っているのだが新しく使いだしたATX電源はUSB接続して、モニタリングしたり設定を変更したりできるらしい。しかし、マザーボードのUSB2.0のコネクターは無線モジュール(WiFiとBluetooth)とケースのUSBポートで埋まってしまっている。

電源とマザーボードを接続するためのコネクタ
赤,白,緑,黒,黒(少しグレー)の5本の線が出ている

残念だが電源をマザーボードとつなぐのはあきらめようかと思ったが、下記画像を見てほしい。
赤丸で囲ったものがマザーボードのUSB2.0のコネクタだ。まず、右側にあるケースのUSBポートに繋がる方のコネクタは上下両側から線が出ている。しかし、左の無線モジュールに繋がる側のコネクタは下側からしか線が出ていない。
これはもしかすると、1つのコネクタに2つのUSBのピンが並んでいるのではなかろうか。
これは調べる価値がありそうだ。

マザーボードの下側
USB2.0のコネクタが2つあり、コネクタには9カ所線が刺さる部分がある
左側のコネクタは下側の4カ所しか線がつながっていない
右側のコネクタは上側に4カ所と下側の4カ所に線がつながっている

調査準備

マザーボードの説明書は、一般家電の簡易な説明書と違ってピン配置もしっかり書かれている。
これを見ると、上下とも”電源の+5V”と”通信線の+-”と”GND”が並んでいる。つまり、USB2.0のコネクタは左右どちらも2つのUSB2.0のピンが並んでいるだけだった。ちなみにNCはNo Connecting略なので、何もつながなくても良い。ただ、今回の電源のUSBコネクタはNCに線がつながっている。これはシールド(電磁波などの影響を避けるモノ)に繋がっているのだが、詳細は省く。

分かれば後は簡単だ。

コネクタ

まず用意するコネクタは所謂、「デュポンコネクタ」「QIコネクタ」「2550コネクタ」と呼ばれるものだ。2.54mmピッチなのでピンヘッダーやブレッドボードに使えるコネクタだ。電子工作をするならセットで持っておくと便利だ。今回は、2×5pinと1×5pinと1×4pinのハウジングと、オスとメスのコンタクトが必要だ。(コンタクトの圧着は絶対に何度か失敗するので多めに買っておいた方が良い。)
私は下記のセットを持っているのでこれを使った。


導線と工具

後は導線とワイヤストリッパと圧着工具が必要だ。
今回使ったコンタクトは0.12sq~0.75sq(26AWG~18AWG)の太さの導線に適合している。コンタクトによって多少前後するはずなのでここは要確認。今回の用途では電流も電圧も大したことはないので多少細くても問題ないはず。太すぎて入らないということだけ無いようにすればよい。今回は見た目を綺麗に仕上げたかったので手元にあったフラットケーブルを使った。
ストリッパは導線のサイズに合ったものを用意する。
圧着工具は専用工具が有ればそれを使うに越したことはない。しかし、専用工具は使える場面がどうしても少ない。よって、個人でやる場合は汎用の圧着工具を使った方が便利だし安く済む。私はエンジニアのPA21という汎用圧着ペンチを使った。

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作業開始

ケーブルの被覆を剥く

コネクタの端子が上が5つ、下が4つなので、フラットケーブルを裂いて5本と4本にする。長いとノイズを拾いやすいが、短くても作業がしにくいので、適当な長さにする。今回は9㎝ぐらいにした。コネクタや被服を剥く分短くなるので注意。

次にワイヤーストリッパで被覆を剥く。芯線圧着部より少し長い程度剥く、大体2㎜程度。距離の差があるので、中央の線画少し短くなる様に切るとできあがりが綺麗になる。今回は本数が少ないのであまり気にしなくても良かった。

5本と4本とになるように裂いて9㎝程度に切ったフラットケーブル
オスとメスのコンタクト

圧着作業

まずメス側(マザーボード側)のコンタクトを圧着した。芯線側を1.6㎜ダイス、被覆部は2.2㎜ダイスで圧着した。少し形が歪になるのは汎用なので妥協。ラジオペンチや圧着ペンチの先端で少し整えた。

メスのコンタクトを導線に圧着した様子

オス側(電源等のUSB機器に繋がる側)も同様に圧着。

オスのコンタクトを導線に圧着した様子

ハウジングに収める

次にハウジングに差し込んでいく、この時刺し間違えが無いようにピン配置を再確認する。このコネクタのハウジングにはオスメスの差がないのでどちらも共通のハウジングを使える。今回はメス側に5×2のハウジング、オス側に5×1と4×1のハウジングを使った。ただ、オス側は別に両方とも5×1でもよいのでそこはお好みで。
時々差し込めないモノがあるが、その時は圧着した時と同様にペンチなどで圧着部の形を再度整える。

メスのコンタクトをハウジングに差し込む様子

完成したものが下記のものだ。

全てのコンタクトをハウジングに刺し終えた様子

通電チェック

次に一応ちゃんと導通するか、テスターで確認する。この時2.54mmピッチのピンヘッダーを挿して置くと確認作業がやりやすい。

テスターと完成したケーブル

問題なかったので、実際に挿して使った。
PC上で機器が認識されているかを確認して完了だ。ちょっとした工作だが満足感がある。

完成したケーブルをマザーボードに刺した様子

まとめ

  • マザーボードの説明書は偉大だ
  • USB2.0のコネクタが埋まっても意外とポート自体は空いていることが有る

今回はUSB2.0のコネクタがちょうど片側だけのUSBポートを使っていてポートが1つ開いていたので、分岐させるケーブルを作るだけでコネクタ不足を解消できたとても満足している。
似たような状況の人の参考になれば幸いだ。

余談

今回はポート自体が不足していたわけではないので、簡単な工作で何とかなった。
しかし、今回だとケースのUSBポートとつながっているコネクタように上下のUSBポート両方を使うような機器の場合、今回の方法は使えない。
その場合は、分岐させるアダプターがあるのでそれを使う。これはUSBハブの内臓版でUSBを分岐させる為にICが載っている。
今回は買わなかったが、足りなくなったら買おうかと考えたものが2つほどあるので一応貼っておく。
もし、使っている人が居たら評価を聞きたい。



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